こんにちは、笹木です。
今回は、脳の「ホムンクルス」についてです。
ホムンクルスって中学や高校で勉強した、「脳のこびと」とも呼ばれてるヤツ。

Sensory Homunculus Figure
ライセンス:CC BY-SA 4.0 11 December 2016
著作者:Mpj29
こんなこと言われても何のことだかイメージが湧かない人も多いかも。
僕は高校のときにホムンクルスを知って「超面白いじゃん!」と強烈に印象に残ったので今もしっかり覚えています。
意味がわかるとすごく面白いんですよ、脳のホムンクルスって!
しかもしっかり理解できると、このホムンクルスを利用して一気に色んな勉強の効率を上げることができます。
ってことで今回は、自分の体のことということでも絶対知っておくべき、脳のホムンクルスとそれを応用した勉強法ついて超わかりやすく解説していきます!
ホムンクルスは脳にいる「こびと」?
今まで、こういう画像をみたことはないですか?

僕はこの画像を高校生のときに見て、今でも忘れられないんですよね。
この絵は何かというと、「人間の脳と、体のどの部分の感覚が対応しているか」を表しているんです。
例えば、「手を触られてるときは、脳のココの部分が『触られてる!』って認識しているんだよ」、というのを細かくマッピングしたものです。ざっくり言ってしまえば。
そして、この図を実際の模型として組み立てたのが、このこびと。

Sensory Homunculus Figure
ライセンス:CC BY-SA 4.0 11 December 2016
著作者:Mpj29
これこそが脳のこびと、「ホムンクルス」なのです。
もともとホムンクルスって何なのかっていうと、その名前の意味は「人造人間」。
ルネサンスの頃に「パラケルスス」っていう錬金術師を名乗る人がいまして、この人が、
「魔術を使って、人工的に人間に似た生命体を作りさせたぞ!」
って主張したんです。
当然、この主張は後に否定されたんですが、これがきっかけで体の感覚に対応する脳の区分をモデル化した「脳のこびと」も「ホムンクルス」と呼ばれているわけですね。
それにしてもコイツの奇妙なルックス、脳に刻み込まれますよねー。
ホムンクルスって高校生物とかだと、「体性感覚」という名前で登場するけど、そんなにがっつり勉強するようなところでもなかったような気がするんですよね。
チョイ役ででてきたのに、僕には強烈なイメージを残したホムンクルス。
まあここまでの話だと、フーン、って感じなんだけど、注目してほしいのは、ホムンクルスを見てわかる、体の各パーツの大きさ!
手や指先、顔の唇なんかはどーんとでっかいのに対して、背中やお尻とかの部分はかなり小さい。
つまり、体の大きい部分ほど感覚が鋭くて敏感で、小さい部分ほど、感覚は鈍いってこと。
そう言われると、確かにそうだと納得できる人も多いんじゃないかと思います。
指先ってすごく敏感でちょっと切れただけでジンジン痛いし、冬に唇とかも切れると痛いですよね。舌だって口内炎ができたときは何してても楽しくなくなるくらい、不快感に付きまとわれるよなーって思います。
それに対して、背中とかお尻って結構鈍いなーって思いませんか?(まあそもそもあんまケガしないかもしれないけど)
よく、子供向けのアニメなんかだと、躾として「子供のお尻をたたく」みたいなシーンがあったりします。何だか「お尻なら叩いてもいい」みたいなイメージもありますが、そういうのも、お尻は感覚が鈍いからなのかなーとか思ってしまったり。
とはいえ、暴力をふるう親には絶対なりたくないですけどね。
ホムンクルスと指の驚異的な力
またこのホムンクルスの模型からも、指先は非常に鋭い感覚を持っているんだなーということがわかりますが、実際の実験でも、人間の指は異次元レベルで感覚が優れているということが研究から明らかにされています。
それが、よくわかるのが、スウェーデン王立工科大学(KTH)の研究。なんと、見かけ上滑らかな表面のものでも、人間は指で触ることで、その表面に存在するナノレベルの凹凸を感じることができるということがわかったんです。
具体的には、参加者には目隠しをしてもらい、「ほぼ滑らか」ないくつかの種類の物体の表面を触ってもらうという実験。その結果、ナノレベルの溝やふくらみの違いを、参加者は触っただけで正確に判断できたんです。
その差、わずか13nmの違いまで識別できたというのだから、すごい。
13nmといっても「めちゃくちゃ小さい」くらいでよくわからないかもしれないけど、地球の大きさが指とすると、表面の凸凹は車の大きさくらい。これくらい大きさに差があるのに、感知できちゃうんですね。人間の指はかなり優れたセンサーなんで、ホムンクルスの手が巨大になっているのも納得です。
ホムンクルスのグロい?脳の実験
脳のホムンクルスについてはざっくりわかってもらえたかな、と思うんですが、このホムンクルスは1930年代に、神経外科医「ワイルダー・ペンフィールド」という脳外科医の人が発見しました。
今では、「脳が指令をだして体を動かしている」「痛み、味などすべての感覚は脳で認識している」ってのは当たり前に皆が知っていることだけど、冷静に考えるとすごい発見だとも思うんです。
だって、何の知識もない子供時代を思い出してみて下さい。
「痛い」「熱い」とかいう感覚って「肌」そのものから感じるものだと思ってましたよね。当たり前だけど、「あー脳に信号が伝わったんだなー」なんて思わないじゃないですか。
ましてや、それぞれの体の部位が、脳のどこの部分に対応しているかを見つけたなんて、大発見だなあと。
では、どうやってペンフィールドは、脳のホムンクルスを突き止めたのか。
実は、脳外科医のペンフィールドさんは、1930年頃に医者としててんかんの手術をしていて、それがきっかけでこのホムンクルスを発見したんです。てんかんの手術は頭を切開して行う開頭手術。
そのときに、脳に電極を流し、実際に患者さんから生の反応を確認して、体の部位と脳の場所を対応付けていったそうです。
想像すると、怖い。まあ、今のようにCTもMRIもないし、技術も発達していなかったので本当に手術はすごかったみたいです。
1920年代の脳の開頭手術は本当に怖い。当時の脳の手術の様子が下の動画からわかるんですが、かなり生々しいので
閲覧注意です。
手でドリルを回して穴を開けている…しかも患者は意識がある様子なのも恐ろしい。
脳のホムンクルスのような、「脳のどの部分がどんな機能を持っているか」という解明は、実際の人や動物を利用されることが多くて、特にてんかんの患者さんの手術から研究されることも多かったようです。
今でこそ、脳に電気を流して反応を調べるなんてちょっと怖いけど、こういう研究の積み重ねで少しずつ解明されてきたんだと思うと、今はどんな情報でもすぐに調べられる良い時代に生きているな、と感じたりもしますね。
ホムンクルスに基づく脳の記憶法とは?
さて、ホムンクルスの原理はわかったけど、ホムンクルスの脳地図は、記憶力アップに活かすこともできます。
というのも、ホムンクルスからは、「脳への影響度が高い体の部分」がわかるから。
ホムンクルスからわかるのは、特に手や口といった体の部位が脳と深く関わっているということ。これを勉強や暗記に利用しない手はない。
つまり、「勉強や記憶したいものに対しては、手をつかったり口を動かすと良い!」ということです。
こんなことをいうと、「いやいや、まあ理論上はそうかもしれないけど、実際に効果あんのかよ」と思われそうだけど、実際の実験からも、手や口を使うことで記憶力が大幅に改善することがわかっています。
握るだけで暗記!ホムンクルスの手
例えば、モントクレア州立大学が行った研究では、手を握ることで記憶力があがるんじゃないか?という実験を学生を使って行っています。
具体的には、70個以上の単語を被験者に覚えてもらい、そのときに、いくつかのパターンで自分の手を握るということをしてもらっています。
例えば、単語を記憶するときは右手を握り、単語を思い出すときは左手を握る、など。
これを左右の色々なパターンで実施してもらったんです。
その結果、最も効果があったのが、「右手を握って覚え、左手を握って思い出す」っていう方法で、これをやったグループが一番単語の記憶率が良かったんです。
対して、一番覚えが悪かったのが、何もしなかった(手を握らなかった)グループ。覚えるときに手を動かすだけで脳も活性化していることがわかります。
ノートは手書きが効果的?
最近ではノートなどをとるときに、手書きのノートではなく、PCのノートを使う人も多いですよね。
僕自身、手書きよりもPCやスマホの方が文章を書くスピードも速いので、最近は手書きでメモしたりすることがが少なくなったように思います。
ただ、脳に刻み込みたい場合は、手書きの方が良い!というのが現在の科学的な見解です。
実際に「手書き vs PC」という実験が2014年のプリンストン大学の研究で検証されています。
被験者にあるプレゼンテーションを動画でみてもらい、そのときに
- 手書きノートでメモをとるグループ
- PCを使ってキーボードでノートをとるグループ
にわけたんです。
その後、被験者に対して、プレゼンの内容をきちんと理解できているかをテストを実施したという実験になっています。
その結果、手書きでノートをとっていた人のほうが、プレゼンの要点を正確につかめていて、理解度が高かったということがわかったんです。
手書きのほうが勉強に向いてるんじゃないか?という結論になったわけですね。
「キーボードだって、手を使っているじゃないか」とも思うんですが、やはり、ペンで紙に書き込むという動作は、単調にキーボードを叩くより断然脳への刺激になる。
記憶というのは、動作などの強い刺激が伴うほど脳に刻まれるので、手書きのほうが理解度が高かったと考えられてるんですね。
僕はタイピング派なので、手書きも意識していこうかなと思ってる次第です、、笑
まあ、とはいえタイピングの方が記録に残せるスピードは段違いなので、一長一短だなあとも思ってます。
特に講義なんかの内容をメモするときなんて、筆が遅いと細かいところを書きそびれてしまう可能性があります。
だからこそ、手書きは要点を絞って書くから、重要ポイントを正確に理解できるともいえるんですけどね。
要は、何を学ぶかで使い分けるのがベスト。
とにかく細かい詳細な情報をメモしたいならタイピングでメモする。
全体像、話の概要を理解したい場合なら紙のノートに手書きで書くのもいいと思います。読書ノートなんかを書く場合は手書きが良いってことですね。
ホムンクルスのガム暗記法?
また、ホムンクルスで巨大な部分といえば、口もあります。脳には口との関係も大きいんですね。
で、口を使うと言えばやっぱりおすすめなのは音読勉強法。記憶力にもいいですし、僕の経験から言うと、英語との相性がバツグン。万能な勉強法です。
そしてそして、もう一つ紹介するのが、ガムを使った勉強法。これまた、口を使うので効果的なんですが、
アメリカのセントローレンス大学が行った研究では、約160人の被験者に対して、論理的思考力が問われる難しい問題を解いてもらうっていう実験をしてもらったんです。
そのときに、ガムを噛みながら解いてもらった人と、普通に黙々と解いてもらった人たちを比較したんですね。
その結果、すべての種類のテストで、ガムを噛みながら解いた人の方が成績がよかった。
この他にも、鹿児島大学の研究でもガムを噛むことで集中力が高まることを実際の脳波から実証しているんです。
やはりホムンクルスが教えてくれる、脳への影響が大きいパーツを利用するっていうのはかなり効果的な勉強法だだということがわかります。是非試してみて下さい!
ちなみに、市販の記憶力への効果を謳っているガムに効果はあるのか?本当に記憶力を上げたいならどのガムを選ぶべきかなどを科学的に検証した記事もあるので気になる人は読んでみて下さい!
ホムンクルスと脳のまとめ
ホムンクルスについては、脳のどの場所が体と対応しているか。また、どれくらい感覚が鋭くなっているかなどがわかります。
ただホムンクルスから脳と体の関係を知るのも面白いですが、これをどうやって、普段の生活や勉強に活かすということが重要です。ということでホムンクルス的な覚え方をまとめると、
①ホムンクルスの「手」を利用する
記憶したいもののを覚えるとき、思い出すとき手を強く握る!
ノートは、要点を的確に押さえたいときは手書きでとる!
②ホムンクルスの「口」を地用する
音読を勉強法に利用する!
ガムを使って脳を活性化させる!
という感じ。ちょっとしたテクニックですが、効果は実証されているので好きなものから取り組んでみるのがよいかと思います!
ではまた!!
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